営業の参考書『営業の魔法』
今回紹介する本はこちら『営業の魔法 この魔法を手にした者は必ず成功する』です。
これはとても有名な本なので知っていたり、読んだことがある方も多いと思います。
そこで、この記事では読んだことない方はもちろん、読んではみたが、良く分からなかったという方に向けて内容を私なりの解釈も交えて紹介したいと思います。
目次
『概要』
この本は主人公の冴えない営業マン「小笠原」が、スーパー営業マン「紙谷」から12個の営業の魔法について教えてもらい、成長しトップ営業マンへの道を、リアルなストーリー仕立てで解説した本です。
そのため、非常に分かりやすく読みやすい上に、とても大切な事が詰まっているので、営業職に就いている方はもちろん、そうでない方でも日常生活で役に立つ知識が満載の本です。
前回紹介した『説得の心理技術』は専門性が強く、とても読みにくい本なので「興味のある方は読んでみては?」といった感じですが、この本は営業職に就いている方には絶対に読んで損はない程です。
大切な事だらけなので「内容を丸暗記しろ」とまでは言いませんが、自分の物に出来るくらいには、繰り返して読み込むことをオススメします。
著者:中村 信仁
出版社:ビーコミュニケーションズ
発売日:2007年10月
ページ数:200p
『内容』
この本の中で出てくる12個魔法はとても大切なのですが、今回はそれらすべては紹介するようなことはしません。
12個の魔法の中から、重要だと思ったものをピックアップして紹介したいと思いますが、その前に知っておいた方がいい、始めの部分から解説します。
『自分自身ではなく相手をいかに集中させるか』
これは本の中で「魔法のはじまり」という、いわば序章の中に書かれている内容なのですが、非常に重要な事なので、解説したいと思います。
相手の集中力をコントロール出来ない場合、トーク中に相手は聞くことさえ面倒くさいと思われてしまいます。
具体例を出すと、校長先生の話が長いと感じるのと同じです。
これは、環境にも左右される部分もあると思いますが、長いと感じる理由の多くを占めるのは「話が下手」ということです。
例えば、ドラマやアニメ、映画を見ていると、気づかずに時間が進んでいて、終わってから「もう、こんな時間?!」となった事はありませんか?
これは面白かったからです。
そして、面白い物に対して人間は集中してしまいます。
また、誰が話ているかも重要です。
つまり、人に話を集中して聞いてもらう為には「内容」「環境」「人物」の3つの項目があると言えます。
では、どうすればいいのかは、この本の中や『説得の心理技術』を紹介した際に解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
『瞬間の沈黙』
これは「魔法その1」で解説されている内容です。
この章のテーマは瞬間の沈黙、つまり「間」です。
間がない話は、聞いている方からすると、集中力の切れる原因になってしまいます。
動画であれば、あとから見返したりすれば良いので、間を作らないマシンガントークで話す動画が多く、そちらの方が再生回数が多い傾向にあると感じますが、日常会話ではこうはいきません。
その為、一方的にこちらが話す場、プレゼン等がこれに当たりますが、大切な部分の説明に入る前などの、相手を引き付ける目的で間を使います。
では、一方的ではない、会話ではどこで使うと良いのか。
それは、相手が考えていたり、自分の中で想像を膨らませている時だと言えます。
何故なら、相手がまだ話の内容を理解できていなかったり、自分の中に答えが無いからです。
理解できていなことはもちろん、自分の中に答えが無い場合、納得するのに時間がかかったりします。
また、答えを持たせる事で、その答えを良い方に裏切れた場合、相手の興味をさらに引ける可能性があります。
では、間を取るタイミングですが、相手が目をそらした時です。
基本的に人は、相手の目を見て話しを聞きますが、それをそらしたということは、話以外の事に注意がいってしまっている証です。
よく人が考え事をする時に、右上や左上を見ますよね。
逆に、取った間を終えるタイミングは、相手が再度こちらを見てきた時です。
これはある程度自分の中で考えが固まり、答えを出せたり、出せないにしろ、一回きりを付けた証です。
これらに気を付けて、間を適度にとる事で、話のテンポは心地いい物になり、相手の集中力も続くほか、会話のメリハリを取ることもできます。
逆に良くない営業トークとして、動画と同じようなマシンガントークが上げられます。
相手に考える時間を一切与えない場合、最後の相手の回答としては「考えさせてください」といったものになってしまい、これは実質、断られたのと一緒です。
『売らない営業』
これは「魔法その3」の内容です。
本の中で紙谷さんから小笠原くんが「君はいつも何かを売ろうとしていたはずだけど、今日からそれを辞めてごらん」といったアドバイスされる場面があります。
何故こんなアドバイスをしたのか、それは、小笠原くんはお客さんのニーズに応える事よりも、商品を売ることを第一に考えていたからです。
ここでは、商品を売るのではなく顧客の問題解決のお手伝いをすると書かれています。
この本の特徴として、問題提起はされるのですが、それに対する答えはすぐに分かるわけではありません。
話の中で、次第に見えてくる方式をとっています。
そこで、ここでは解決する手法を1つだけ紹介します。
それは、ニーズを引き出してから提案をするということです。
逆に、ニーズを見や誤ったり、勝手にこちらで決めつけてしまうと、商品を買ってもらえません。
相手がどんな問題を抱えているのか、そして、これから自分が進める商品はその問題に対してどのような解決策を持っているのか。
これを理解して、売り込むだけで、結果は全く変わってくるでしょう。
余談ですが、値段が高い商品の場合、値段が高い理由を相手が納得できる形で提示すると、買って貰えます。
人は高いから買わないのではなく、何故高いのか分からないから買わないのです。
『応酬話法』
これは「魔法その5」の内容です。
ここは少し難しく、分かりにくいかもしれません。
まず「応酬話法」(おうしゅうわほう)とは何だろうという話ですが、セールスの用語で、少し定義があいまいです。
この本の中では、相手の話を理解した上で、良い返答をするテクニックのこととしています。
詳しい内容はこれ以降の章で説明されているのですが、この章ではその前提となる気持ち的な準備、つまり心構えについて解説しています。
この一個前の章の内容と繋がる部分があるのですが、営業をする際は、自分の頭の中をプラスなイメージになるような事でいっぱいにしておく必要があります。
理由は、相手からなにか質問をされた際、マニュアルにあるような内容であれは良いですが、それ以外の事を聞かれた場合、アドリブになります。
よく、面接の練習等で「予想外の質問が必ず来る」と言われるのと同じで、セールスも予想できない質問が飛んできます。
そこで応酬話法のテクニックが役に立つのですが、アドリブで答えるため、自分の頭の中の状況に大きく左右されます。
つまり、プラスな考えであればプラスな回答を、マイナスな考えであればマイナスな回答をしていまいます。
本の中では例として、2人の旅人の話が出てきます。
同じ町に行ってきたのに、1人は「良かった」と言い、もう1人は「悪かった」と言いました。
何故感想が違うのか、今後2人は次の町ではどのように思われ、どのような対応をされて、どのような感想を言うのか、といった話です。
物事の悪い点ばかりを指摘して、文句ばかり言っている人は、例え良いテクニックを取得しても、良い点を指摘する人よりも成功しにくいでしょう。
テクニックは言い換えれば道具です。
例え、道具が良くても使い方が悪かったり、間違っていては意味がないのと一緒です。
そこで、頭の中をプラスなイメージで埋めておく必要はあるのです。
しかし、ここで注意すべきは、自分を偽る必要は無いということです。
相手と商品の良い点を探して、商品を買うことで、どれだけの利益が出るのかを、しっかりと想像できていれば問題ありません。
『二者択一話法』
これは「魔法その6」に書かれており、日常生活でも非常に有効な技です。
例えば「今晩、何食べたい?」よりも「今晩はカレーとうどん、どっちがいい?」の方が、相手は答えやすくなりますよね。
これは、選択肢をあらかじめ提示することで、選択する側の負担が減るためです。
これを使うと、相手が悩む時間が減るので、会話がスムーズに進みます。
『イエス・バット話法』
これは「魔法その7」に書かれていることで、ます、相手の意見を肯定すること、また、その意見に対して質問を繰り返すことです。
しかし、相手の意見に対して、一回同意してから反論するわけではありません。
「そうですよね...しかし!」というわけではないということです。
ここでの否定は自分ではなく、相手に言ってもらう事が正しい方法です。
自分ので言うのが良くない理由は、人が例え自分の意見が間違っていても、相手に正論で指摘された場合、意地を張ってしまい、間違った意見を変えにくくなってしまうからです。
では、貴方がスマホを販売するとして例をあげてみましょう。
「ちょっと、このスマホは値段が高いよね」
『そうですよね、決して簡単に出せる金額ではないと思います。ちなみにですが、何を基準に高いという判断をしたのですか?』
「今使っている物の値段の倍以上するじゃん」
『確かにそれくらいの違いがありますね。ところで、今回は何故、新しくスマホを買い替えようと考えたのですか?』
「それは、最近のアプリが重くて性能面に不安を感じてきたし、それにストレージを圧迫するんだよね」
このように、バットの部分である、値段が高くても買うに値する理由を相手に言ってもらう必要があり、この例でいれば「性能面の不安と容量不足」です。
相手からではなく、自分で結論を導き出したとう形をとることが大切です。
『類推話法』
これは「魔法その9」の内容で、簡単に言えばストーリー仕立てで説明するということです。
例え話もここに入り、少し上からの物言いであっても、相手に不快感を与えにくく、その場面や状況が想像しやすいため、理解してもらいやすいメリットがあります。
これも『説得の心理技術』の中で詳しく説明しているので「相手を操作する為のトーク術」を見てみてください。
この技術も日常生活で生かせる場面が多いので、覚えておいて損はないです。
『推定承諾話法』
これは「魔法その10」の内容で「もし」「仮に」といった前置きから話を始め、実際にその商品を購入した日常を相手に想像させるということです。
これも、相手に言ってもらうと効果的です。
例えば、先程のスマホの例でいえば
『もし、買う場合は、何色になさいますか?』
「ジェットブラックかな」
『容量はどうされます?』
「256Gは欲しいよね」
といった感じです。
この方法の強い所はあくまで、もしもの話であるため、否定されません。
また、先程の二者択一話法を交えることもできます。
『もし、買う場合は、明るめの色と暗めの色だとどちらが良いですか?』
「暗い方がいいかな」
こうすることで、二者択一話法のメリットである、スムーズな会話も実現させやすくなり、スマホで言えば契約まで持って行きやすくなります。
そのため、推定承諾話法は最終的な判断を下す場面や、その手前でよく使われます。
『肯定暗示話法』
これは「魔法その11」の内容で、あいまいな事は一切無くし、すべての返答を「はい」を前提に言い切るといったものです。
例えば
「お時間いただけませんか?」ではなく『お時間ください』
「検討していただけないでしょうか?」ではなく『検討をお願いします』
といった感じで、疑問形で終わらせるのではなく、言い切りましょう。
何故、これか有効な理由は、簡単に言えば人がつられやすいからです。
人は前向きで、強く要望されると、つられて良い返事をしてしまいます。
例えば
『やってみませんか?』
「ん~...」
のところが
『やってみましょう』
「はい...やってみます...」
といった風に流されてします可能性があります。
これは日常生活の至る場面で使えます。
「買い物に行かない?」よりも「買い物に行こう」の方が相手のつられて相手の同意を得やすいだけではなく、自分の買い物に行きたい気持ちの強さを見せることができます。
『最後に』
今回は以上です。
ストーリー形式になっている本ですので、オーディオブックがもとてもオススメできます。
魔法を自分の物にするべく、何度も内容を読み込む必要があるのですが、そんな時間は中々ないですよね。
そこで、オーディオブックとすることで、通勤通学時はもちろん、ジョギング等の運動の際にも利用することが出来るのでとても便利です。
最後まで読んていただきありがとうございます。 この本が気になった方は、リンクを下に張っておきますので、チェックしてみてください。
この記事の内容をうのみにすることなく、複数の記事を参考にし、総合的に判断することをおすすめします。